サルビアの花とジャックス

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この時代、騒々しかった70年安保の余波も収まり、反体制の象徴だったフォークも変質を遂げようとしていた。はっきり言って、ラジオから流れる「フォーク」が、軟弱な歌ばかりになって行ったのだ。で、記憶にあるのが「サルビアの花」と「夕暮れどきはさびしそう」ですね。この二曲はそれこそ毎日のようにラシオから流れていた。NSPについては今回は置いといて、「サルビアの花」です。



ヤマハ・ポプコンの足跡を辿ってみると、1970年代から80年代にかけて日本のポップスシーンを引っ張ってきたことがこのCDを聴いていますと良くわかります。名曲揃いですね。
特に思い出に残る曲は、もとまろが歌う「サルビアの花」ですね。
もとまろの歌唱はとても哀愁があり、泣きそうなくらいに切ない歌詞を淡々と歌います。フォーク全盛時代の曲ですが、そのメッセージ性が当時の若者には受け入れられたわけです。大学紛争を経ても何も変らなかった1970年前半の社会の閉塞情勢とも関係があると思います。
あれから30年以上経ちました。「サルビアの花」を覚えている人も少なくなりました。
ただ、青春時代特有の甘酸っぱい思い出を彷彿とするようなこの曲は「エヴァー・グリーン」の輝きを今も放っています。

1971年秋、青山学院高等部の女子の学生バンド「もとまろ」(海野圭子、山田真珠美、織間千佳子)はTBSの「ヤング720」のスタッフから、番組内のフォークグループ勝ちぬき歌合戦に参加することを勧められる。4週勝ちぬいたもとまろは5週目で歌う曲がなくなった。そしてメンバーのフォークに詳しい山田真珠美さんはこの「サルビアの花」を選ぶ。そのテープがニッポン放送の深夜番組「コッキーポップ」で流れると、リクエストが殺到。そこにレコード会社が目をつけ72年にもとまろのシングル盤として発売され大ヒットとなる。

もとまろというのは、青学の女子高生バンドだったそうで、進学すると解散してしまったらしい。芸能活動もコレだけです。後日談があって、2003年になって初めて、もとまろのメンバーだった海野圭子さんは作者の早川義夫に会う。ライブハウスに行き、オリジナルの歌を聞いて、「女子高生が歌うような曲ではなかった」と衝撃を受け、アンケート用紙で素性を明かし、勝手に歌ってすみませんでした、と、おわびを書いたというんだが、早川義夫からは「むしろ感謝している」と礼状が来たそうです。その、この歌を作曲した早川義夫のバージョンです。



早川義夫というのは伝説の人で、ジャックスというバンドでボーカルやっていたんだが、アルバム一枚だけ出したところでジャックスは解散。早川義夫名義で名アルバムと評価の高い「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」を出すも、URCレコードのディレクターになって歌手引退。その後は書店を経営して、23年間、音楽から離れていた。1994年になって、音楽活動を再開してます。

「このまま歌わないで死んだら、焼かれた時骨とは別の魂が残るかもしれない。それは気持ち悪いから。後、大げさにいえば歌わないと自分がいつか犯罪者になってしまうんじゃないかと思って」



ジャックスは日本のロック史上もっとも重要で、先進的なバンドのひとつだった。歌謡曲と、洋楽の物まねロックと、歌謡曲化したロック(GS)と、メッセージ・フォークしかなかった60年代末の日本の音楽シーンに突然投げ込まれた爆弾のようなものだったのである。遠藤賢司、南正人、はっぴいえんど、フォーク・クルセイダーズ、三上寛といったアーティストが押し進めていた動きは、言葉通りの意味でオルタナティヴ・ロックの嚆矢だったとも言えるが、なかでもジャックスの特異な音楽世界は、安易なフォロワーの登場を許さないほど、いまだに唯一無二の存在感でもって屹立している。

たぶんこのバンドが日本初の『ロックバンド』だろうな?!
商業主義に走らずやりたい事、歌いたい事を歌う。これぞロックでしょ?
1STに2ndにラジオ音源等が入った3枚組・帯付き紙ジャケBoxセット。もちろん一枚一枚別々の紙ジャケになってます。3枚ともにオリジナルには入ってないボーナストラックが入ってる。
これと、若松監督の映画『腹貸し女』のサントラがあれば完璧では?(オリジナルアルバムと曲目被ってる部分もあるけど全く別なアレンジ?テイク違い?で、別物として聴けます、こちらも素晴らしい)


これは映画のサントラと言うより完全にジャックスのアルバムです。
早川のボーカルはヘタウマなんだけど訴えかけてくるものがあるし、歌詞が素晴らしい。歪むベースに絡むギター、歌うドラム。完璧じゃない?
ジャックスの1STが好きな人、ベルベッツやドアーズ、ソニックユースなんかが好きな人にオススメの一枚です。



さて、そのジャックス。代表作がコレです。いきなり歌詞が、「ボク、唖(おし)になっちゃった」で始まりますw 水死体の歌ですw

ジャックスの特徴は、若者の心の内面の悩みや葛藤を時には前衛的な言葉で表現する歌詞と早川の情念的な歌唱、そして、木田のジャズを指向した音作りにある。

当時の音楽界では、商業的に大衆の嗜好に焦点を合わせがちなグループ・サウンズと、直截的な歌詞と演奏が主体であったフォークソングが若者の間に支持されており、一部の熱狂的なファンを除き、ジャックスが一般的な支持を受けることはなかった。のちに早川は解散の理由について、「率直に言って、解散の最大の理由は売れなかったこと。もう少し売れていれば解散しなかったと思う」と述べている。

ネガティブにも限度があるだろ、と怒りたくなるような曲ですw ほぼメンヘラですw ジャックスは、確かに売れなかったが、一部に物凄くコアなファンを獲得していく。この曲も、唖(おし)という言葉が出て来るので、長く放送禁止で、絶版になってからは再発売もされなかったんだが、口コミで評判だけが広まっていく。



「ジャックス・スーパー・セッション」というのは、ジャックス解散後に発売されたアルバムで、吹込みの途中で解散してしまったので、寄せ集めだったりする。ジャックスのドラマーはつのだ☆ひろです。もともと和光大学にあった実験演劇の集団から発生したバンドだそうで、この時代の「アングラ」気分がプンプンです。

レコード会社のディレクターになって、岡林信康のアルバムとか作っていた早川義夫なんだが、やがてそこからも離れて、本屋の親父になってしまう。



この本は、けっこう話題になって売れたと思う。



ところが、フォーク好きの女子高生バンド「もとまろ」が普通の女の子に戻り、早川義夫が本屋の店番やっているあいだに、この曲は様々な歌手にカバーされ、広がって行く。これは井上陽水だが、他にも小柳ルミ子や岩崎宏美、天地真理まで歌っている。名曲が勝手にひとり歩きしていた。



最後に、あがた森魚で。「冬のサナトリウム」という自作の曲と繋げて歌っている。あがた森魚というのも、何かに憑かれたように歌う人で、赤色エレジーで大ヒットして稼いだカネを全て、自主制作映画に注ぎ込んで失敗、公開もされなかった。それにもメゲず、延々とやっている。まだ、何かに取り憑かれているに違いないw

ところで、「サルビアの花」がもとまろの歌でヒットしたのは、まだ精神的に幼い少女たちが、曲の意味をよく理解してなかったからじゃないかと思う。もともと男の歌うべき歌詞なんだが、男が歌うと「生臭い」んですねw 歌謡曲ではこうした例はけっこう多くて、ちょび髭のオッサンが「♪オンナ~だからぁ」とかやってますが、「女子高生が歌うような曲ではなかった」からこそ、女子高生のお嬢さまに似合ったんだろう。

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宮史郎が大好きだということはわかった

遠藤賢司に「夢よ叫べ」という曲があるが、これは早川義夫に呼びかけたものという話を聞いた記憶がある(が定かではない)。
http://www.youtube.com/watch?v=0IUymAArT14
そういえば、「夢よ叫べ」は16年ぶりに出したCDだったし(1996)、早川義夫は23年ぶりの復活だった(1994)。
「腹貸し女」のサントラ盤は全然知らなかった。いいことを教えていただきました。ありがとうございます。
若松監督もちゃんと見てないな。なかなか手が回らない。

早川義夫「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」より、
「わらべ歌」http://www.youtube.com/watch?v=o6M7d_rSClo
「無用ノ介 」http://www.youtube.com/watch?v=SOaTonc-A74
なぜか、最近のはほとんど聴いてない。すみませんw

サルビアの花はもとまろがオリジナルと思ってました。
ハモリがザピーナッツみたいで素敵だなと思ってました。

手前勝手な妄想でどんどん現実離れしていくストーカーの情念の歌だったのか。
ふつうに考えて、こんな野郎に思い詰められたらお嬢さんがたは恐怖だろうにw
枯れた風情のあがたが歌うと、なんとも味わい深いなあ。

続き、、、

さらに早川氏の原文を探すと、かつて下記の場所で公開されていたようで、
『いやらしさは美しさ』(アイノア刊)という本に収録されてるとか。

コラム 第 2回 サルビアの花
http://www15.ocn.ne.jp/~h440/column2.html
|「はじめまして。18才の頃、『もとまろ』というグループを組んで
|『サルビアの花』を歌わせていただいていました。初めて生の本物
|のサルビアを聞いて頭をガーンとなぐられた様な気がしました」と
|書かれてあった。

それから、同じ頃にオフコースも同じ「サルビアの花」を歌っていたようです。

1971年(昭和46年)10月 「'71 作曲コンクール」(第3回ポピュラーソングコンテスト)
 入賞 サルビアの花 オフコース
http://www.yamaha-mf.or.jp/history/e-history/popcon/pop3.html

MUSIC CONNECTION にリクエストを出すと聞けるかもしれません。

さらにもう一度書いてみる。

気になったので、ちょっと調べてみた。リンク先のAmazonには、
|もとまろは当時、青山学院大と短大に在学中の3人の女子大生グループ
と書いてある。

ちなみに大石吾朗もラジオ番組で「もとまろ」は、女子大生グループだったと言った。

で、「青山学院高等部の女子の学生バンド」と書いてある記事を探すと
簡単に見つかった。参考にしたのは朝日の記事だと書いてます。
http://www.geocities.jp/kazu1059jp/utanotabibitosarubia.html

で、朝日の記事を探すと archive.org に残っていました。

うたの旅人 鮮烈な赤に託した思い もとまろ「サルビアの花」 2010年10月
http://www.asahi.com/shopping/tabibito/TKY201010210276.html
|青山学院高等部3年の女子バンド「もとまろ」でした。
|  (途中省略)
|「もとまろ」は72年4月、キャニオン・レコード(現ポニーキャニオン)
|から「サルビアの花」を発売しました。

高校生のときに録音して、進学してレコードが発売になったようですな。

 早川書店、懐かしいなぁ。最寄り駅にあったので、良く
行ってました。
 どこにでもありそうな書店でしたが、「ぼくは本屋のお
やじさん」の中で取次まで行って本を仕入れてたって話し
があったと思いますが、約2間幅程度しかない一般書の棚
の品揃えがとても良かったのを今でも覚えています。
*個人経営の書店では見たことないレベル。目利きのいる
 丸善とかジュンク堂のレベルだったなぁ。
 店を使っていた頃はジャックスなんて知らなかったけど、
閉店してしばらくたった頃(アルバムが出た頃なのかな)、
日曜朝のNHK(ニュース?)でインタビューされてたの
を見て、そんな人だったのかとビックリでした^^;。

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