ブラック・ハカランダの謎

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ヤスマで作っていたギターには、1970年代後半になると「ブラック・ハカランダ」という材が使われている事がたまにあって、単板ではなく合板なんだが、おいら、その「ブラック・ハカランダ」物は二本持っているんだが、ご覧のような木目です。何だか異様な感じがするんだが、ハカランダとは明らかに木目が違うような気がする。で、当事者が語る言葉によれば、

70年代中盤にバイヤーが持ち込み通常のハカランダより数割高かった為に誰も見向きもしなかった。2度目の持ち込みの時に安間社長と田原楽器が購入した
次からは持ち込みされなかった貴重な材です
後半のキャッツアイCE1200CF等のローズモデルに材が不足したのか紛れていることがありサイドが白濁しているギターを良くみたら
ブラックだった事が何度かありました
サイドバックがブラックだったらGETしましょう
本正目でローズの様に見えても向きを逆にして見て黒紫色に見えたら
ブラックの可能性があります
音は通常のハカランダより重たく深い音がする様に感じました

安間社長によれば、ヤスマとジャンボの田原楽器が購入したというんだが、ジャンボでこの材を使ったギターがあるのかどうか、まだ未確認です。で、本物のハカランダがどういう木目なのかというと、コレです。


 

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右が単板、左が合板です。左側のような木目で単板だとすると、割れる可能性が高いと思う。日本のメーカーが盛んにハカランダのギターを作り始めた1970年代には、ブラジルからの輸出がワシントン条約で禁止されて、柾目で綺麗な木目のハカランダはなかなか入手できず、コストの関係もあって、合板がほとんどです。合板だったら、強度の心配がないので、どんな奇想天外な木目でも使える。右側のギターは白濁してますね。この時代のギターの多くは、こうした白濁が出ている。今のところ、治す方法はありません。まぁ、いずれにせよ、冒頭に出したブラック・ハカランダとは別物です。

さて、そこで、ヤスマが使っていた通称「ブラック・ハカランダ」と何なのか? 「パーシモンに似ている」という声もあって、パーシモンといえば「柿の木」の事なんだが、それも、普通の柿の木ではなく「黒柿」と呼ばれる銘木があるわけだ。
辺心材の差はあまり無く、全体に淡い橙褐色を帯びている。心材のでき方は不規則で、黒色の縞模様や濃淡があることが稀にあり、そうした材を黒柿(クロガキ)と言い、古来から珍重されている。
また、孔雀の羽の模様に似た孔雀杢が現れることがある。
コレ、ベラボウに高いです。茶道具や床柱に使われる材で、こんな風に全体的に黒っぽいわけじゃない。ごく一部に黒い模様が入ってるだけです。仮に黒柿だったとしたら、こんなにデカい黒柿があるわけないので、貼りの合板だとしても国宝級の大変なもんだ。で、あまりに黒柿が高いというので、黒柿に似た材で「シャム柿」としいうのが輸入されるようになった。

この「シャム柿」には面白い話があって、日本のさる商社が南米から輸入したのだが、どこから輸入したのか知られるのを恐れて、「シャム柿」と名付けたらしい。本来は、メキシコからグアテマラにかけてが産地です。しかも、「柿」ですら、ない。実は、
色が黒くて重硬で模様がある材としてはホンコクタン(本黒檀)やシマコクタン(縞黒檀)が有名で、他にカリマンタンエボニーなどがありますが、それらはいずれも日本の黒柿と同じくカキノキ科。
というわけで、「黒くて重硬で模様が出る」というので、柿ではないのにシャム柿と名付けたようだ。シャムでもない、柿でもないのに「シャム柿」ですw 実は、シャム柿はマメ科なんですね。とはいえ、現地でも希少な材であり、しかもあまり大きくならないらしい。このシャム柿という名前の由来については、この、張本人から聞いたという材木屋の証言があるので、そんな大昔の事ではないようで、まだこのシャム柿の存在があまり知られてない時代に、「ブラック・ハカランダ」と名付けてギター工房に持ち込んだバイヤーがいた、というのは想像に難くない。シャム柿で検索してみると、色々と画像が出て来るんだが、まず、この材はシャム柿で間違いないところだろう。で、関心はどんな音なのか? という事なんだが、まぁ、どうせ貼りなのでそんなに大きく変わるわけでもないような気もするんだが、自分で二本持っているので比較してみると、とにかく重いです。

シャム柿というのは重くて硬い素材で、比重が0.88くらいあるらしい。水に浮かぶかどうか、といったところで、貼りといってもギターの場合は、0.6mmくらいの厚さで両面に使うので、半分近くがこの材になります。芯は何だろうか。順当なところではメープルです。メープルというのはカナダの砂糖カエデですね。コレも硬くて重い木だ。重くて硬い木をサイドバックに使えば、音もそんな感じになります。調べてみると、このシャム柿で胡弓を作っている人がいました。
シャム柿は大変美しい木目を持っています。
墨絵のような、枯れた、感じの物です。

かなり和風ということが言えるでしょう。
シャム柿を、二胡に作ると、その木目のように、和を感じさせる音になります。
重厚で、渋くて、なおかつ張りのある大ボリュームの出る楽器です。
紫檀のような外に向かう華やかさは無いですが、シッカリと弾くと、その音は日本人の心にしみいってきます。
本来ならば、黒檀の代用品ですから、あの乾いた、張りのある少し沈んだ音になりそうなのですが、
脂分が多く、なおかつ、短い導管もよく発達して、木の内部で音が響きます。
紫檀は、油分も多いのですが、導管が長く、外へ外へと音が響きますが、導管の短い物は、内部に音が響きます。
黒檀もそうですね、だから少し沈んだ音がするのですが、シャム柿は、その短い導管がかなり多いのです、ですから音はよく響きます。
音が伸びるのです。
紫檀系が、バイオリンとすれば、そのキー音が低いという点でも、シャム柿はビオラのイメージかもしれません。
朗々と響くバリトン歌手のようでもあります。
音が良く伸びてなおかつ大きく、響くのは内部ですから、渋さもあります。
わびさびの世界の二胡、と言ってよいかと思います。
ちなみに、ここで作っている胡弓なんだが、ブラジリアン・ローズウッド、つまりハカランダ物が35~38万円なのに対して、シャム柿物は55万円で、最も高いです。で、この時代、入手困難なハカランダの代替になるような材を探して、色んなモノが出ている。ニュー・ハカランダというのもありましたね。ニュー・ハカランダというのはヤマハの造語だそうで、ホンジェラス・ローズウッドの事らしい。あと、エレキギターの指板に使われる「ブラック・ハカランダ」には、アフリカ産の「アフリカン・ブラックウッド」が多いような気もする。コレは、本来、オーボエやクラリネット、それにバグパイプに使われる材で、比重が1.2もあるので水に沈みます。コレも物凄く高価な材です。

というわけで、実の所「ブラック・ハカランダ」なんていう材はない、というのが結論になるわけだが、とは言いながら、並みのハカランダよりはずっと高価で珍しいわけで、しかもおいらのブラック・ハカランダのギターはどちらも、タイトに締まってしかも量感のある低音が効いて気持ちいいので、「ブラック・ハカランダ」大好き。

コメント(8)

シャムガキは後期Sヤイリ(80年代)に使われていますね。たぶんブラジリアン・ローズウッドが手に入りにくくなったので代用したと思います。

シャムガキは後期Sヤイリ(80年代)に使われていますね。たぶんブラジリアン・ローズウッドが手に入りにくくなったので代用したと思います。

そういや、「ヤスマはS.ヤイリの高級機も作っていた」と聞いたな。
ヤスマは1982年まで営業していたので、あるいは、そのS.ヤイリはヤスマ製かも知れない。

だんだん仏壇とか位牌の話しみたいになってきますたw
お体ご自愛くださいwww


そう言えば、最近は暖かくなって煮物系は作らないんですか?w

凄い迫力。

>朗々と響くバリトン歌手のようでもあります。

木を見てるだけで、音が鳴ります。いい物です
ね。
でも凄いコレクションだなぁ。

高級ギターは、紫檀、黒檀、ローズウッド、などなど、銘木だらけだよ。確かに仏壇の世界だw 胡弓も紫檀をよく使うようだね。アレは錦蛇の皮を使うので、またひとつ、ワシントン条約で規制される。ただし、手持ちで持ち込んで、税関で上手なところを弾いて見せれば、個人使用というので数本に限り、持ち込みが許可されるらしい。

胡弓は中国のおねーちゃん(CMで見かけた人w)がクラブで弾いてCD売ってるの見たw
チケットも売ってたかも?ww

上手いのか下手なのか他に見た(聞いた)事がないから比較できないけどwww

前日にイチローが来てCDが当たらなくて怒ってたらしいwww

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